「ネットカフェ暮らしなら、履歴書に住所はいりません。」
──社長と社員1人の電気制御設計会社。
零細企業のバカ正直な想いが、条件を超えて人を動かした話。
採用条件、ぜんぜんイケてません。
- 隔週休2日制
- 残業あり
さらに採用競合大手がひしめく愛知県三河エリアの会社。
…にもかかわらず、求人広告を出したら全国から300件を超える応募。
しかも、未経験者歓迎のはずが、結果的には経験者2名を採用。
いったい何が起きたのか?
今回は「条件で選ぶ人」ではなく、「言葉に呼ばれた人」が集まった奇跡のような採用事例をご紹介します。
求人媒体に100万円使っても、応募ゼロに近い。
この話の主人公は、社員が社長ともう1人だけの電気制御設計の会社。設立4年目の中小企業です。
ある日、知り合いからこんな相談を受けました。
「リクナビNEXTに100万円使ってるけど、応募がほとんどない」
実際には数件の応募はあったものの、年齢層が高すぎてマッチしない。
掲載原稿は「未経験者歓迎!イチから学べます」のキャッチコピー。
これ、ダメです。未経験歓迎なら、もっと待遇が良い会社が山ほどある。
イチから学べる仕事だって、腐るほどある。
競合が強すぎる場所で勝負して、しかも何の特徴もない。そりゃ、勝てない。
社長の言葉を“掘る”ところから始めた。
そこでやったこと。それは“採用目的”の棚卸し。
- どんな会社にしたいですか?
- なぜ若手を採用したいのですか?
- どんな人と一緒に働きたいですか?
社長の答えはこうでした。
「僕も苦労してきたから、今しんどい状況にいる若い子にチャンスをあげたい。順風満帆に来た子よりも苦労をして挫折を味わった子のほうがいい。」
そこで私は、こう聞きました。
「じゃあ、自分だけではしょうがない理由で泣く泣くネットカフェで暮らしてて、履歴書に住所が書けないような子が来てもきちんと面接しますか?ちゃんと採用対象になりますか?」
答えは、Yes。
だったらその想いをカタチにするだけ。ド直球で勝負することに。
キャッチコピーは、ネットカフェ暮らしなら、履歴書に住所はいりません。
この会社の「らしさ」は社長の熱い想い。これは採用競合である自動車メーカー系のサラリーマン社長にはない魅力です。キャッチコピーでは社長の想いを伝えるだけでなく、この会社のことを知らない人でもクリックしてみたくなる、そんな言葉を選択しました。「ネットカフェ暮らしなら、履歴書に住所はいりません。」
もう、この1行で応募の“質”が変わります。
未経験OKとか、学歴不問とか、そんなテンプレは要らない。
伝えるべきは、泣けるくらいに真っすぐな社長の想いだけなのですから。
【求人原稿・全文紹介】
ネットカフェ暮らしなら、履歴書に住所はいりません。
世の中は「自己責任」と言うけれど、自分の頑張りだけじゃどうにもできないことがあるに違いない。
僕も苦労してきたから、一緒に働くなら、順風満帆な人より、壁にぶつかりながら歩いている人と手を組みたい。
僕が考えている採用基準はひとつしかありません。
「今、どんな状況におかれていようとも、きっかけさえつかめれば、本気で頑張れる人。」
たとえばネットカフェで生活していて定まった住所がない人。
一度は就職したけどすぐに辞めてしまった人など。いろいろあると思いますが、それはそれです。
僕は若いころ「最近の若い奴らは」と比較されることが嫌いでした。
そういう人は若手を育てる気はあるのかな?
反骨精神ではありませんが、僕自身は25歳で独立。
いまは4つの大手自動車工場で8本の製造ラインを任されています。
設立4年目の今年、2人目の正社員を募集します。
今、あなたに技術がないのはしょうがない。電気のことが分からなくても構いません。
4年で技術を、その次の3年で実績を、7年後には独立できるくらいのエンジニアに育てるつもりです。
営業が名刺の渡し方から教わるように、電気制御設計をイチから教えていきます。
仲間の緊急事態には、自分の仕事を後回しにしてでも助けに行く。
そんな「粋」な人間関係の作り方も教えていきます。
実はいざというときに助けてくれる人のつながりが、僕の人生の財産だったりしますから。
仕事を覚えたら次は得意分野を見つけていきましょう。
ロボットライン、搬送ライン、自動加工ラインなど、「ここはあいつに任せたい」
そう思われたら一人前。人から頼られる嬉しさは、この仕事の喜びです。
いよいよ独立となったとき、機材や材料費が足りないなら支援します。
倉庫が見つからないなら、しばらくうちで間借りしてもらってもいいですよ。
応募は気軽にどうぞ。直接電話してくれても構いません。
必要であれば面接交通費や宿泊費もお渡しします。遠慮しないでくださいね。
なんだか、おせっかいと思われるかもしれませんね。
でもそれが僕らしい人との出会い方ですから。
バカ正直に応募者と向き合う。こんな会社が一社くらいあってもいいんじゃないかな、と思っています。
代表取締役 ●●
全国から300件以上の応募。そして2名の経験者採用。
結果、この求人広告は300件以上の応募を集め、
その中から経験者2名が採用されました。
彼らが言った動機は、こうです。
「この社長と働きたいと思った。」
求人の“条件”ではなく“言葉”で動いたということです。
条件が悪くても、覚悟がある人は動く。
さらにこの原稿は、こんな内容も盛り込みました。
- 昼ごはんや夜ご飯も一緒に食べる関係性で
- 社長と社員ではなく人と人との繋がりで働きたい
いまどきの若い子には敬遠される情報かもしれません。でも採用後のことを考えたら、やっぱりこの社長と採用者の距離は近いと思ったからこそ嘘はつけない。でも逆に、これがあるからこそ「この社長と働きたい」と思ったそうです。
求人では“飾らない正直さ”がときに“共感”を呼ぶのです。
嘘のない言葉が、ちゃんと“選ばれる”。
この原稿のすごいところは「盛ってない」ところ。
バカ正直すぎて、むしろちょっと照れるくらい。
でも、その正直さに、人は動かされる。
制度や福利厚生が完璧じゃなくても“出会い方”がいい。
だから、ちゃんと「共感で応募」が集まる。
【まとめ】
求人広告の効果出しって、スペックで人を集めるだけが方法じゃない。
条件の良さだけで勝負するものじゃない。
この会社の場合は、最初からやるべきだったのは、この社長が持っている「らしさ」=求職者と向き合う真っすぐな気持ちと想いを伝えることでした。それが出来ていなかったから結果的に100万円をドブに捨てるようなことになってしまった。
条件で負けていたら採用はできないのか…。でも、それは絶対に違う!その証明がこの求人広告。整ってない条件でも、ちゃんと伝えれば、人は来る。
採用に困ってる全ての中小企業に伝えたいのは、「条件が悪いから人が来ない」ではなく、「魅力を伝えられていないから人を呼べていないだけ」。ぜひ皆さんも自社の「らしさ」を早く見つけて、人材採用戦略を加速させませんか?
こんな求人広告を作りたいと思っていただいた方は。まずは以下問い合わせフォームよりご相談だけでもお気軽にどうぞ!




