ダメなキャッチコピーは秒速で出てくるのに、良いキャッチコピーは延々と出てこない件

雑談

こんにちは、なかしです。
採用広報のキャッチコピーを書く仕事を20年くらいやってます。

で、いまでも思うのがこれ。

「ダメなキャッチコピーは秒で出てくるのに、良いやつはいつまでたっても出てこない」

いやほんと、なんで?って感じですよね。
逆ならいいのに。今日はこの永遠のテーマについて、自分なりに考えてみた話です。

「求人 キャッチコピー 作り方」とか検索してきた人には、答えにならないかもしれません。
でも、これを読めばきっと、“いいコピーってどうやって生まれるのか”がちょっとわかるかも。


まずは、自分の代表作(=良いキャッチコピー)を見てくれ!

自分で言うのもなんですが、世に出して成果が出た採用広報のキャッチコピー、いくつかあります。
そのなかでも記憶に残ってるやつを、まず紹介させてください。

キャッチコピー募集職種ひとこと解説
ネットカフェ暮らしなら履歴書に住所は要りません制御設計職挫折や失敗をしてきた人こそ成長できると信じている社長の優しさ溢れる姿勢
3番テーブルのミカちゃんがゴネています。上手くなだめられたら月給25万5000円キャバクラ幹部候補リアルな現場と給与を、会話風に描写
ときどき机の下で娘と息子がかくれんぼしてる会社です機械設計職制度じゃなく“文化”としての働きやすさを切り取る
どんな仕事かは関係なかった。ただこの社長と働きたいと思った。アパレル企画職仕事内容を超えた「人で採る」コピー
努力して美容師になったけど人間関係で辞めた。でも大好きだったからあきらめきれなかった美容師挫折と再挑戦に寄り添う、共感型コピー

こういうコピーは、決して“パッと思いついた”わけじゃないんです。
「求人っぽいフレーズ」とは真逆の、“その会社でしか言えないこと”を拾い集めて、言葉にしてきた結果なんですよね。


ダメな求人キャッチコピーが秒速で出るのは、「自分の引き出し」だから

「未経験者歓迎」「アットホームな職場」「笑顔があふれる現場です」
……このあたりのフレーズ、見覚えないですか?

これ、いわゆる“ダメなキャッチコピー”の代表例です。
なぜダメなのか。それは「ありきたりすぎて、何も伝わらないから」。

でも、こういうコピーって、なぜかめっちゃ早く出てくるんですよ。

理由はカンタンで、

“自分の頭の中にすでにある”から。

つまり、誰かから聞いたことある、どこかで見たことある、使い古されたテンプレが、
「とりあえず」って感じで脳内から勝手に出てきちゃうんです。

こういうコピーはやっぱり効果がない。


良いキャッチコピーは、「現場から発掘」しないと出てこない

一方で、良い求人キャッチコピーって何かというと、

“その会社にしかないリアル”を、1行に凝縮した言葉

だからこそ難しい。
これはテンプレじゃ作れない。
「現場に行って、話を聞いて、空気を感じて、あれこれ悩んだ末に、やっと出てくる」タイプのコピーです。

たとえば──

  • 「住所がない人でも僕は採用する」→『ネットカフェ暮らしなら履歴書に住所は要りません』
  • 「“ミカちゃんをなだめる”ことも幹部の仕事」→『3番テーブルのミカちゃんがゴネています。』
  • 「社内に子どもがいてもそれが普通の文化」→『机の下でかくれんぼしてる会社』

これは、Googleで「キャッチコピー 例」と検索しても出てきません。
現場から拾った“文脈つきの素材”を、言葉に再構築してるんです。


良いコピーとは、「自分の思い込み」を壊す作業でもある

ここが一番しんどいところ。

ダメなコピーって、自分の中にある“便利ワード”を取り出せば書ける。

でも良いコピーは、自分の中にある

  • 「こういう言葉がウケるはず」
  • 「求人広告ってこういうものでしょ」
  • 「こう書けば反応が取れる」

みたいな“前提”を壊さないと見えてこないんです。

そして壊したあとに、「じゃあ本当は何を言うべき?」と向き合わなきゃいけない。

だからしんどい。
でも、だからこそ刺さる。


良いキャッチコピーには、「誰かの人生」がかかっている

求人広告のキャッチコピーって、ただの煽り文じゃないと思ってます。

読む人の心を動かすかもしれない。
いま悩んでいる人の「転職するか、しないか」の決断に、ちょっと影響を与えるかもしれない。
あるいは、自分を責めていた人が「そうか、もう一度やっていいんだ」と思えるかもしれない。

そんな可能性が、“たった1行の言葉”に宿ることがある

それを知ってるからこそ、言葉は慎重に、でも本気で選びたい。


「ひらめき」じゃない。「気づき」を言葉にしただけ

たまに言われます。「このキャッチ、どうやって思いついたんですか?」って。

正直、“思いついた”わけじゃないんです。

「現場で得たリアルな気づき」が、言葉になって浮かび上がっただけ。

良いキャッチコピーの作り方って、「アイデア勝負」じゃないんですよ。
むしろ、「どこまでちゃんと現場を見たか」の勝負。だから現場にいかなくちゃならない。


まとめ:良いキャッチは「作るのではなく見つけるもの」

というわけで、結論です。

良い求人キャッチコピーは、“ひらめき”ではなく“発掘”である。

ダメなコピーは自分の引き出しからすぐ出る。
良いコピーは、現場に耳を澄ませて、空気を感じて、咀嚼して、
自分の中の思い込みを壊して、ようやく出てくる。

だから時間がかかるし、悩むし、延々と出てこないこともある。

でも、
「その会社にしかないリアル」
「その人にしか刺さらない言葉」
それが形になったときだけ、
人は、動く。


おまけ:こんな求人キャッチコピーをもっと増やしたい

求人広告の言葉がもっと“共感”に寄ったら、働く人の選択肢って広がると思ってます。

もしあなたが採用で困ってたり、キャッチコピーで悩んでたら、
“なんか面白いこと考えてそうなやつ”として、僕を思い出してくれたらうれしいです。

ではまたね!
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