こんにちは、なかしです。
前回の記事で「求人広告はスーパーのチラシ、採用広報はラブレター」とお伝えしましたが、皆さんはきっと今こんな感じではないでしょうか。
「えーと…何書けばいいの。ラブレターを最後に書いたのは中学の黒歴史…」
今回はそんなあなたのために、
「魅力って、どこにあるの?」から
「会社の中身って、どう伝えるの?」まで、ちゃんと考えてみようという回です。
“うちの会社の魅力ってどこにあるの問題”から、抜け出そう
魅力って、そもそも「どこ」にある?
「魅力を発信しよう!」と言われたら、多くの人がまず思い浮かべるのはこんなこと。
- 給与とか?
- 休日多めとか?
- オシャレなオフィス?
- とりあえず「やりがい」って書いとく?
…はい、ストップ。そこ、最初の落とし穴です。
もちろんそれらも立派な魅力です。でも、ほとんどが「外側からの魅力」なんですよね。
わかりやすく言えば、パッケージは良いけど中身が見えない商品と同じ。
それだと「なんとなく気になる」けど「長く使いたい」とは思われにくい。
本当に大事なのは、その会社にしかない“内側の魅力”です。

つまり、そこにいる人たちの価値観、働き方、日々の空気感、カルチャー。
言い換えれば、「制度」より「物語」。数字より、人の顔が見えること。
「うちは人がすぐ辞めるから、魅力なんてないよ…」
なんて声もたまに聞きます。でも、大丈夫。
魅力は“あるか・ないか”じゃなくて、“見つけるか・見過ごすか”。
どんな会社にも、ちゃんと何かしらの魅力はあります。
見落としているだけ。まだ、言語化されていないだけです。
「らしさ」は“現場のリアル”からしか見つからない
じゃあ、その“内側の魅力”ってどうやって見つけるのか?
答えはシンプルです。
現場の人に話を聞く。これ一択。
なかしが勝手に“師匠”と呼んでいる先輩はこう言います。
「100人以下の会社なら、社員全員と話せ」
……いや、物理的にしんどいですけど、理屈は通ってます。
実際、現場で働く人が語る日常のエピソードこそが、
その会社の「らしさ」を物語ってくれるんですよね。
たとえば:
- どんな人が、どんな理由で働いてる?
- 他社とどう違うと感じてる?
- どんな場面で笑って、何に怒って、どこで泣いた?
- 辞めたくなった瞬間、なぜ思いとどまった?
そういう話の中に、言葉にしにくいけど「確かにある空気感」が見えてきます。
それがまさに“内側の魅力”の断片です。
魅力って「演出して作る」ものじゃないんです。
「既にあるものを、ちゃんと見つけて言葉にする」ことなんです。

会社の中身を伝えるって、どうすればいいの?
「じゃあ、それをどうやって発信するの?」という話ですが――
ここで最近よくあるのが“求人広告の延長線で採用広報を始める”パターンです。
たとえば、こんな会話。
社長:「最近、人が来ないなぁ」
担当:「じゃあ、“採用広報”ってやつやりましょう!」
社長:「おお、それだ!年間休日120日をアピールしたインスタ動画を発信しよう!」
──いや、ちょっと待ってください。
なんの戦略もなく、ただ動画を作るだけでは、ほぼ失敗します。
なぜかというと、それって本質的には「求人広告をたくさん配る」だけなんですよね。
つまり、前回触れた“スーパーのチラシ拡散祭り”。

確かに、条件で集客すれば人は来ます。
でも、条件で来た人は、結構な割合で、条件で去っていきます。
つまり、永遠に採用活動を繰り返すループへ…。
気づけば「求人を出し続ける会社」になってしまいます。
求職者が企業に惹かれる2つの動機とは?
人が企業に惹かれる理由は、ざっくり言えばこの2つです。
- 外発的動機づけ:給与・福利厚生・立地など、「条件」による魅力
- 内発的動機づけ:人間関係・文化・理念など、「共感」による魅力
求人広告は、主に“外発的動機”を伝えるためのツール。
なので、良い条件を提示すれば、それなりに人は集まります。
ただし問題は、「条件で来た人は、条件で離れる」可能性が高いということ。
給料が上がる、通勤がラクになる、リモートOKになる…
そんな風に、より良い条件が他に現れた瞬間、ふっといなくなるリスクがあるんです。
一方で、内発的動機――たとえば、
- 「この会社の考え方が好き」
- 「この人たちと働きたい」
- 「この空気、なんか自分に合う」
…という共感ベースの動機で応募してくれた人は、ちょっとやそっとじゃ動きません。
たとえ業績が悪くなっても、社内がドタバタしても、意外と踏ん張ってくれます。
むしろ、そういう人が“コア人材”に育っていくんです。
採用広報は“ストック型”の投資である
ここで、採用広報を語るうえで極めて重要な視点があります。
それが、「採用広報はストック型の投資」であるという考え方です。
たとえば、人材紹介や求人広告は「フロー型」。
お金をかけて出せば人は来ますが、終われば何も残りません。
言ってしまえば、“一回こっきりの釣り”です。
でも、採用広報は違います。
- 社員インタビュー
- noteやSNSでの発信
- 社内の価値観整理や、カルチャー設計
- 取材記事や動画制作
こういったものは、すべて資産として蓄積されていきます。
つまり、やればやるほど“会社の採用力”が貯まっていくんです。
仮に、月30万円で広報専任を置いたとしても、
1年後には「信頼」「共感」「ブランド」といった目に見えない採用インフラが出来上がっている。その結果、求人広告や紹介会社に払うコストがなくなって、月30万円以上の価値になります。
一方で条件で勝負する会社は、常にコストとの戦い。会社が大きくなろうとするほど、採用コストがかさんでいきます。
でも、共感で選ばれる会社は、“選ばれる仕組み”を持っている。つまり採用広報とは、未来の採用をラクにするための先回り投資なんです。

次回予告:「らしさ」を言語化するって、どうやる?
次回は、「じゃあ、どうやってその“らしさ”を言語化し、伝えていくか?」という話です。
採用広報がただの“自己満足発信”で終わらないように。
そして、中小企業が“選ばれる側”になるためのヒントを、もう一歩深く掘っていきます。
どうぞお楽しみに。
