第2回:中小企業の採用広報ブランディングとは?

設計/戦略

こんにちは、なかしです。
前回の記事で「求人広告はスーパーのチラシ、採用広報はラブレター」とお伝えしましたが、皆さんはきっと今こんな感じではないでしょうか。

「えーと…何書けばいいの。ラブレターを最後に書いたのは中学の黒歴史…」

今回はそんなあなたのために、
「魅力って、どこにあるの?」から
「会社の中身って、どう伝えるの?」まで、ちゃんと考えてみようという回です。

“うちの会社の魅力ってどこにあるの問題”から、抜け出そう

魅力って、そもそも「どこ」にある?

「魅力を発信しよう!」と言われたら、多くの人がまず思い浮かべるのはこんなこと。

  • 給与とか?
  • 休日多めとか?
  • オシャレなオフィス?
  • とりあえず「やりがい」って書いとく?

…はい、ストップ。そこ、最初の落とし穴です。

もちろんそれらも立派な魅力です。でも、ほとんどが「外側からの魅力」なんですよね。

わかりやすく言えば、パッケージは良いけど中身が見えない商品と同じ。
それだと「なんとなく気になる」けど「長く使いたい」とは思われにくい。

本当に大事なのは、その会社にしかない“内側の魅力”です。

外見だけ魅力でも内側はボロボロかもしれない…

つまり、そこにいる人たちの価値観、働き方、日々の空気感、カルチャー。
言い換えれば、「制度」より「物語」。数字より、人の顔が見えること。

「うちは人がすぐ辞めるから、魅力なんてないよ…」

なんて声もたまに聞きます。でも、大丈夫。
魅力は“あるか・ないか”じゃなくて、“見つけるか・見過ごすか”。

どんな会社にも、ちゃんと何かしらの魅力はあります。
見落としているだけ。まだ、言語化されていないだけです。

「らしさ」は“現場のリアル”からしか見つからない

じゃあ、その“内側の魅力”ってどうやって見つけるのか?

答えはシンプルです。
現場の人に話を聞く。これ一択。

なかしが勝手に“師匠”と呼んでいる先輩はこう言います。

「100人以下の会社なら、社員全員と話せ」

……いや、物理的にしんどいですけど、理屈は通ってます。

実際、現場で働く人が語る日常のエピソードこそが、
その会社の「らしさ」を物語ってくれるんですよね。

たとえば:

  • どんな人が、どんな理由で働いてる?
  • 他社とどう違うと感じてる?
  • どんな場面で笑って、何に怒って、どこで泣いた?
  • 辞めたくなった瞬間、なぜ思いとどまった?

そういう話の中に、言葉にしにくいけど「確かにある空気感」が見えてきます。
それがまさに“内側の魅力”の断片です。

魅力って「演出して作る」ものじゃないんです。
「既にあるものを、ちゃんと見つけて言葉にする」ことなんです。

既にある魅力を見つけて言語化してみよう。

会社の中身を伝えるって、どうすればいいの?

「じゃあ、それをどうやって発信するの?」という話ですが――

ここで最近よくあるのが“求人広告の延長線で採用広報を始める”パターンです。

たとえば、こんな会話。

社長:「最近、人が来ないなぁ」
担当:「じゃあ、“採用広報”ってやつやりましょう!」
社長:「おお、それだ!年間休日120日をアピールしたインスタ動画を発信しよう!」

──いや、ちょっと待ってください。

なんの戦略もなく、ただ動画を作るだけでは、ほぼ失敗します。

なぜかというと、それって本質的には「求人広告をたくさん配る」だけなんですよね。
つまり、前回触れた“スーパーのチラシ拡散祭り”。

スーパーのチラシを拡散したところで採用課題を解決することはできません。

確かに、条件で集客すれば人は来ます。
でも、条件で来た人は、結構な割合で、条件で去っていきます。

つまり、永遠に採用活動を繰り返すループへ…。
気づけば「求人を出し続ける会社」になってしまいます。

求職者が企業に惹かれる2つの動機とは?

人が企業に惹かれる理由は、ざっくり言えばこの2つです。

  • 外発的動機づけ:給与・福利厚生・立地など、「条件」による魅力
  • 内発的動機づけ:人間関係・文化・理念など、「共感」による魅力

求人広告は、主に“外発的動機”を伝えるためのツール。
なので、良い条件を提示すれば、それなりに人は集まります。

ただし問題は、「条件で来た人は、条件で離れる」可能性が高いということ。

給料が上がる、通勤がラクになる、リモートOKになる…
そんな風に、より良い条件が他に現れた瞬間、ふっといなくなるリスクがあるんです。

一方で、内発的動機――たとえば、

  • 「この会社の考え方が好き」
  • 「この人たちと働きたい」
  • 「この空気、なんか自分に合う」

…という共感ベースの動機で応募してくれた人は、ちょっとやそっとじゃ動きません。

たとえ業績が悪くなっても、社内がドタバタしても、意外と踏ん張ってくれます。
むしろ、そういう人が“コア人材”に育っていくんです。


採用広報は“ストック型”の投資である

ここで、採用広報を語るうえで極めて重要な視点があります。
それが、「採用広報はストック型の投資」であるという考え方です。

たとえば、人材紹介や求人広告は「フロー型」。
お金をかけて出せば人は来ますが、終われば何も残りません。
言ってしまえば、“一回こっきりの釣り”です。

でも、採用広報は違います。

  • 社員インタビュー
  • noteやSNSでの発信
  • 社内の価値観整理や、カルチャー設計
  • 取材記事や動画制作

こういったものは、すべて資産として蓄積されていきます。
つまり、やればやるほど“会社の採用力”が貯まっていくんです。

仮に、月30万円で広報専任を置いたとしても、
1年後には「信頼」「共感」「ブランド」といった目に見えない採用インフラが出来上がっている。その結果、求人広告や紹介会社に払うコストがなくなって、月30万円以上の価値になります。

一方で条件で勝負する会社は、常にコストとの戦い。会社が大きくなろうとするほど、採用コストがかさんでいきます。

でも、共感で選ばれる会社は、“選ばれる仕組み”を持っている。つまり採用広報とは、未来の採用をラクにするための先回り投資なんです。

採用広報は「採用力」という資産で会社にストックされていく。

次回予告:「らしさ」を言語化するって、どうやる?

次回は、「じゃあ、どうやってその“らしさ”を言語化し、伝えていくか?」という話です。

採用広報がただの“自己満足発信”で終わらないように。
そして、中小企業が“選ばれる側”になるためのヒントを、もう一歩深く掘っていきます。

どうぞお楽しみに。

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